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契約書の説明を受ける老夫婦

取扱事例(個人)

<個人のお客様>

交通事故

 物損事故の場合、レンタカーの使用期間、評価損、全損の場合の時価などが問題になることが多いです。評価損は認められる場合でもせいぜい修理代金の2割までではないかと思います。全損の場合は、レッドブックの価格又は新車価格の10%とされることが多く、その価格に納得できないため、インターネット上の中古車価格情報による価格を主張することがありますが、走行距離や型式などの条件が一致しないため、インターネット上の中古車価格を認めさせることは難しいのが実情です。また、相手方が任意保険に加入しておらず、こちらも車両保険を掛けていないため、修理代が自腹になるケースも時々あります。

 人損事故の場合、保険会社も、裁判でも、いわゆる赤本の基準に寄ることが多いです。但し、慰謝料については、保険会社は、赤本の基準は裁判基準であるので、示談交渉段階では、赤本基準の80~90%にこだわります。また、後遺症については、裁判の傾向として、以前に比べ、自賠責を超える等級を認めてもらうことは難しくなっていると思います。また、骨折等がない頸椎捻挫や腰椎捻挫などの場合、保険会社は、通院の治療費負担を6か月程度で打ち切ることが多く、担当者によっては、3~4ヶ月で打ち切るケースもあります。また、仕事を優先する気持ちから、痛みを我慢して出社し、結果的に通院が少ない場合、会社を休んでほぼ毎週3、4回通院する場合に比べ、自賠責の後遺症障害14級が認められにくいように思われる。このような傾向は、不合理ではないかと感じています。

不動産

 宅建、司法書士、土地家屋調査士試験などの試験合格の知識は、土地の境界や所有権の範囲の争いの解決に役だってきました。

 しかし、境界・土地の範囲をめぐるトラブルは、東京などと違い、争う土地の価値より、解決するための費用がかかることが多く、コストとの兼ね合いを特に考える必要がある類型です。

 また、建築紛争は、1級建築士等の専門家の協力が不可欠です。基礎のレベルが設計図より高い、屋根裏の筋交いが設計図より少ない、見積書と納品が違う、擁壁の高さが実態に合わない、などと、図書類などと一致しない場合は債務不履行などが認められやすいですが、施工の見栄えが悪いなど判断基準が乏しい場合や口頭による見積もり変更や減額など、立証が困難ケースも多いのが実情です。また、建築の瑕疵の場合、修繕費や調査費用などが認められるだけで、慰謝料や弁護士費用が認められるケースは少なく、被害の実態に合わないと感じています。

​労働問題

 過去に特に注意・指導もなく、突然、能力不足や勤務態度を理由に解雇されるというケースがあります。会社は、過去の勤務態度などを縷々主張しますが、本人は注意・指導された自覚もなく、会社に記録がない場合は、解雇を争う余地は十分あります。但し、労働審判や訴訟を申し立てた場合、金銭的解決による和解を強く勧められます。

 また、自動車免許もなく、公共交通機関も不便な事業所に異動を命じられたため、異動命令が不当だと労働審判に持ち込み、金銭的和解で解決した事案もあります。

 他方、パワハラによる慰謝料等を争う場合、IC録音による証拠があるケースは少なく、また、同僚の証言も協力が得にくいことから、パワハラの存在の立証が難しいケースが多々あります。

​ また、パワハラの立証が可能だとしても、パワハラが軽度である場合、うつ病との因果関係が否定されるケースもあります。通院していたクリニックのカルテを取り寄せても、カルテに、本人の悩みの内容が具体的に記載されていないことが意外と多く、証拠として利用できないことも一因です。

​多重債務

 多重債務の解決方法は、主に、任意整理と法的手続きである破産、個人再生の3種類があります。

 任意整理は、債権者と交渉し、弁済約定書を締結し、弁済するというものです。これまでは、将来利息は負担なし、最大5年による分割払いが一般的な弁済約定の内容であったと理解しています。

 破産は、換価すべき資産があれば、換価した上で債権者に配当し、換価すべき資産がなければ、配当なく、残債務を免責するというものです。自宅に一般にある動産類や初年度登録から6年を経過している国産車(高級車やローン付は除く。)などは手放す必要はありません。但し、パチンコやFXなどの浪費がひどい場合は、免責されないケースがあり、注意が必要です。

 個人再生は、原則として、3年の返済計画に基づき、債権の一部を返済し、残債務を免責するというものです。ローン付きの自宅を残したい場合や浪費がある場合など破産が適さない場合に利用されます。

 いずれも、信用情報に掲載され、5年以上、融資やクレジットカードの審査が通らないなどの不利益がありますが、経済的再生のためには、早期に決断することも重要と思われます。

 不貞の慰謝料は100万円~300万円ではないかと思われます。過去、裁判で1500万円とされた事案がありましたが、財産分与も数億円、不貞期間も長期であったことなど、極めて稀な事情が重なったものです。

 不貞行為時に夫婦関係が円満であったか否かが、慰謝料額に影響するものと思います。この点、不貞相手の第三者は日頃の夫婦関係まで把握していないことから、日頃の夫婦関係を立証するため、不貞した配偶者の証人申請をしましたが、必要なしとして採用してもらえなかった裁判もありました。不合理に感じています。

 また、財産分与は、夫婦財産を折半となるため、例えば、夫婦共有財産は、夫の貯金2000万円だけで、妻が不貞をし、慰謝料が300万円とされた場合、最終的には、夫は、妻に700万円を支払う必要があります。夫としては、妻の不貞で離婚せざるを得なくなったのに、なぜ、自分が持ち出しの結論になるのか、納得できないものと思います。しかし、この点は、日本の裁判所が認める慰謝料額が低額なため、やむを得ない結論です。

 親権者については、裁判では、双方の親の経済状況や監護能力などを単純に比較し、どちらが親権者として相対的にふさわしいか、という判断ではなく、現在の監護状態を尊重する傾向が強く、現在監護していない親を親権者として認めさせることは難しいのが現状です。

 婚姻費用や養育費の額については、最高裁が基準を示しており、裁判所は、その基準に従い、機械的に決めており、その金額を争うことは難しいと言えます。

​離婚

​相続

(1)相続税や生命保険

 相続税には、基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)配偶者控除(1億6000万円または法定相続分の範囲内)、生命保険控除(500万円×法定相続人の数)、小規模宅地等特例制度などを理解した上で、節税や納税資金の確保の対策が必要です。また、生命保険は遺産ではなく、受取人の固有財産であり、原則として、特別受益とはなりません。遺言書と併用することで、遺留分減殺請求への対応や納税資金の確保の対策となりえます。

(2)相続放棄

 被相続人の負債が多い場合は、亡くなってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続放棄の手続きをすることにより、債務を免れることができます。当然、資産も相続できませんが、生命保険は遺産ではありませんので受け取ることはできます。

(3)遺言書

 遺言書を書くことにより、法定相続分とは異なる比率で相続内容を指定することができます。但し、兄弟姉妹を除く法定相続人には、遺留分があり、遺言書を残す際、遺留分のことを考慮する必要があります。

(4)寄与分   

 遺産分割の際、法定相続分以上の相続分を主張する根拠として、寄与分の主張があります。寄与分の割合は、裁判所に認められても、せいぜい2割ではないかと考えます。無償で家事従事を手伝ったケースで、裁判所に4割を認めてもらった事案がありますが、極めて稀な事案と思われます。また、療養看護での寄与分を主張する場合、通常の親族が行う程度では全く寄与分が認められませんし、寄与分が認められるとしても、最近は、介護保険における介護報酬を基準に算定されるため、期待するほどの寄与分が得られないのが実情です。親族関係が疎遠となる流れの時代において、特に被相続人のために尽くした相続人について、寄与の評価を高めてもよいのではないかと思います。

​刑事事件

 刑事責任を問われるケースは、特殊な人とは限りません。交通事故は誰でも起こす可能性があります。報道レベルでは、道路に寝ていた人を轢いた事故でも、刑事責任が問われており、交通事故は引き続き厳罰化傾向と言えます。また、以前では、ヤミ金から、お金を貸すための条件と言われ、金融機関の通帳を渡したため、刑事責任を問われるという事件が何件かありました。最近では、新型コロナウイルス感染拡大で設けられた補助金の詐欺事件が目立つようになっています。一般の人でも、知人に誘われ、安易に手を出すことがありますが、場合によっては前科がなくても、実刑を受ける可能性があります。

 身柄拘束事件の場合は、勾留を争ったり、保釈請求をすることになりますが、以前に比べ、若干ではありますが、裁判所は身柄解放寄りの判断をするようになったと感じます。

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